「逆さの雫」後の話。当代達はべたべたに仲良く無いけど悪くもないみたいな。
自分相手だから、ていう甘えがお互いにあればいいなと思ってます。形は違えど。
こんなこと言っててもライドウちゃんだってきっと肩抱けないんだぜ☆






 らいどう、と不快の手前程度に高い声が己の名を呼ぶ。
 膝を付いていた背に当てられた感触は正体不明だ。

「ライドウ」

 繰り返された言葉は己を現すもののはずなのに、違う誰かを呼ばれているような
気がしてライドウはそのまま手元の作業に集中した。
摘み取る野花の茎は儚く、葉もどこにそこまで広がる力があるのかわからない程
細く細かに分かれていた。

「ライドウ」
「どうした」

 立ち上がって振り返ればライドウの腰にも届かない背丈が拳を突き出している。
握られている花と同時にちいさな手で毟られたのか、ゆるい風に針のような枯れ葉が
ぱらぱら舞った。

「ん」
「……」
「ライドウにあげる」
「そうか、すまない」

 受け取ればこどもはうれしそうに笑った。
逆の手に握りしめている同じ花は茎を長く残して摘まれ、先端の細長い蕾がこどもの
動きに頼りなく宙を泳ぐ。
花を二つ合わせて持てばこどもは満足したのかくるりとライドウに背を向け、
おそらくこどもにしかわからない言語で歌い機嫌良さげに歩き出した。
抱き上げろと気に入りを強請られるかと思ったがどうやら無駄な心配だったらしい。
こどもの重さなど苦ではないが、生きているあたたかみが信じられない程の軽さは
いつもライドウに不安を与えた。おそれかもしれない。
 今にも浮かびあがりそうな足取りをしばらく眺めてから後ろを付いて歩く。
ゆっくりゆっくり、歩幅に差があるから半歩分の距離を保てるように調整して。
風に揺れる癖毛と花と蕾がひとつ。

 鳴海

 零した音は足音に紛れ込ませたつもりだったのに、
 こどもは見覚えのあるやり方で振り返ってもういちど笑った。






花束を持つ雷堂さん。
カラーとムギとルリタマアザミとあとなんか。
この子は花束とか買うの相当照れる子なのか、照れる概念が無くて颯爽と買うのか。






真の亀甲縛りはきちんと六角形を描きます。先述のは正式には菱形縛り。
ということでちゃんと描いてみました。肩の辺り間違えたけどまあ亀甲。
しかしがるがる言ってるのナルミさんだけだな……嫁はよろこんでるし。






花束を持つライドウさん。
フランネルフラワー+ホワイトスター+ダスティ+モンステラ。
黒ラッピングは失敗でした。ライドウちゃんは照れなく買いそうです。