※暗カカ娘イル 「い」 痛いと言わないのはプライドだとかそんなんじゃないんだろうなぁと思う。 我侭は幼さの特権なのに、どうして口にしないのか。 そもそも行為自体が幼さとは真逆に位置するからなのか。 「イルカー」 固く瞑っている瞼を撫ぜると力が抜けたようで、一筋だけ涙が転がって首筋に張り付く黒髪へ溶けていった。 汗ばんだ肌からはそういうとき特有のいやらしい匂いが少ない。そのうちどんどん増してくるだろうそれが少しだけ、そして底知れずおそろしいものに感じて、カカシはばれないようにため息をついた。 処女やら他人の癖がついていない身体やら、抱いたことがないわけではない。だからイルカだってこの先もっとやわらかくなって抱かれることに慣れていくのだろうと知っている。カカシが教える快楽を身体で覚えて、どんどん男を受け入れるイキモノになっていくはずだ。 「…まだ、いたい?」 問いかけに開いた目からまたぽろりと涙がこぼれる。 イルカの眉はふにゃふにゃと歪んでいるのにその口からちいさな笑い声がこぼれて、カカシはどうしていいか判断がつかずにとりあえず目元を拭ってやった。 「だいじょーぶだから」 「泣いてんのに何言ってんの」 あはは、ともう一度イルカは笑い、身を捩ったことでまた痛みを感じたのか今度は口に出して「いたた」と言った。 「や、痛いけど、なんて言うか、カカシさんが」 「俺が?」 カカシが頬に置いたままにしていた手のひらへ甘える、イルカの動きはよどみがない。身体がつながっているいないに関わらず過去に幾度となく繰り返された行為でもあるからだ。 続きを待つカカシをゆるりと見上げながら、無意識にかイルカは下腹あたりを撫ぜてまた笑った。 「カカシさんが。はいってんだなぁって、」 「ん」 「…、うれしくて」 その時背筋を駆け上がった感情の波が情欲だとは思えない。 カカシが触れているイキモノは今までがどうあれ確かに女、だけれども。 「なける」 身を屈めて口付ければもうイルカの声は零れない。 負担にならないよう少しづつ腰を揺らしながら、快楽を追いきれない自身をカカシは内心で嘲った。 もう抱いてしまっているのに、 イルカを疑っているわけでもないのに、 後戻りなんて出来ないのに、 「イルカ」 これは覚悟が出来ていないとかそういう類いのものなのだろう。 次第に増す粘膜の擦れる音と快感を意識して拾いあげ、カカシはイルカの身体を揺らした。 最初に抱いた記憶は曖昧だ。 問うとイルカは笑って茶化すばかりで。 確かに「好き」なはずなのに、今まで知らなかった自身の臆病さがすべてを踏み止めさせる。 「カカシさ」 「ん」 のばしてくる指先を口に含んでやれば驚いたように引っ込められた。抱かれている最中なのに初な反応へ笑いを返すと、頬が染まったままで睨みつけられる。からかうつもりはなかったがイルカは気にしたらしい。 ああ、確かにこれは俺の「かわいい」だ。 終わった後でまたひとり悩んでしまうことも全て自覚したまま、カカシは揺らすうちに枕側へずれてしまったイルカの身体を抱きしめてこっそりと口の端を歪めた。
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出来ちゃった後のお話。なのにラヴくなくて申し訳ない…
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