「あんた里一番の業師だなんて恥ずかしいあざ名持ってんですから俺を戻れなくしてくださいよ」 落ちたざんばらな髪染まる頬触れる肌うるんだ黒い瞳あーたまらん色っぽいちくしょうめ、だなんて俺が思いながらちゅーしようとしたら目の前のイルカ先生がそんなことをのたもうた。 俺達らぶらぶカップルで今イイ感じだったんですが、ええええ。 「恥ずかしいって、そんな」 「いや恥ずかしいでしょう」 「いや恥ずかしがるほうが恥ずかしいと思うんですけどってそうじゃなくて!」 戻れなくってなんだ。 「お願いだから。あんた以外じゃ勃たなくなるぐらいまでにしてくださいよ、ねぇ」 あんたならできるんでしょう、そういってイルカ先生はうつむいた。 なにも抱きあうのが初めてなわけじゃない。 そんでもってイルカ先生が俺を好きなことを疑う余地はない。 前もね、ちゃんと気持ちよさそうだったよね、せんせ。 出しただけじゃなくてイッてたもんね。 せんせは俺が好きでしょう、信じてくれなくても俺もなんだよ イルカせんせにそんなことをぽつりぽつりと伝えると、同じようにぽつりぽつりと言葉が返ってきた。 「信じられないのはあんたじゃないんです」 ぽつりぽつり、落とされるのは言葉より感情に近い。 どれだけ好きでもいつか嫌いになるかもしれない自分がこわい。 だからしばりつけてくれ、と。戻れなくなるまで。 要約すればそんなことがぽろぽろと転がっていった。 しかられる前のこどもみたいなうつむいた顔をすくってさっきできなかったキスをする。 「カカシさ」 「ま、聞きようによっちゃあ熱烈な告白ととれないこともないですかね」 んじゃまぁ頑張らせていただきます、そう言えば子供みたいな笑顔が泣き顔をかぶせてあらわれた。 別にね、忍びとしてならそんなおねがいかんたんなもんですよ。 うれしそうに覆いかぶさってくる身体を受け止めてキスを繰り返しながら心の中でつけくわえる。いつかでいいから気付いて欲しい。 あんたが信じられないこの先のあんたまで俺は好きな自信があるのだから、ただきもちいいと思う時間は俺を好きでいてくれればいいし、俺を好きでいてくれればあんたのお願いなんて自然と叶うんだって、たったそれだけのことなんだ。
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